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忘れる忘れない

ツバメの雛がかえったみたいだ。卵の殻が落ちていた。2個ぶん。それからもうひとつは、中身も一緒に落ちていた。孵化せずに死んでしまったのかな、割れたすきまから小さな中身が出て、蟻たちが群がっていた。

ツバメ、生まれたところにもどってくるというから、いまここで子育てしているのは、去年ここで生まれた雛さんなのだろうが、どうして、正しく戻ってこれるのか、不思議でしょうがない。

生まれてからいままで、住んできた場所を考えてみる。13年暮らしたり、2か月しか暮らさなかったり、いろいろだけど、ここが多分11か所め。16年になる。驚いた。いつのまにか人生で一番長く暮らしている。

以前暮らしたことのある場所に正しくたどり着けるか、私は自信がない。家自体が無くなっているのが、わかっているだけで5か所。子どもの頃に暮らしたところは、さすがに、ここが家のあった場所だとわかるけれど。あとはどうかな。

以前、学生の頃の下宿先のひとつはここらへんだったなと思って、歩いてみたときに、たぶん、家そのものも取り壊されたのかもしれないんだけど、全然わからなかった。

記憶を失うということは、とても恐ろしいことなんじゃないかと、思っていたけど、考えてみれば、わりと平然と、いろんなことを忘れているなあと思う。忘れてしまっていいこともたくさんあるよなと、平気でいられるようになったのは、たぶん年をとったからです。

そのまま忘れていればいいものを、ふと思い出したりするときに胸が痛い。

やさしくしてくれた人たちの名前を思い出せないときに、すこしつらい。やさしくしてもらったことにそのとき気づかなかったなということに、気づいたときに、すこしつらい。

たとえば何かしてもらったときに、喜びよりも、予期していないことへの戸惑いと困惑で、心がいっぱいになって、感謝することができない、ということがたくさんあったなあと、今にしてわかったりする。

息子を見ていて、気づいたりする。

いちご、153個。

毎日いちごジュース。食べきれない分は、砂糖漬けにして冷凍した。